2020年2月12日水曜日

反日種族主義批判「イ・ヨンフンによって歪曲される」慰安婦のイメージ 1「楯師団の慰安婦、文玉珠」前半




イ・ヨンフンの講義『楯師団の慰安婦、文玉珠」』という動画を見た。
これである。https://www.youtube.com/watch?v=3siNUCt4pXg

文玉珠さんの『ビルマ戦線楯師団の「慰安婦」だった私』を題材に慰安婦の生活や待遇を説明しているのだが、いろいろな部分を歪曲し、強引な結論を述べている。


酷いものをつくるものだ。
読んでいない人のために説明しようと思う。



          1、友達に比べて文さんだけが、大金を持っていた
           ことを無視するイ・ヨンフン

イ・ヨンフンは文玉珠さんが大金を稼いだことを述べている。

しかし、第一に「(経営者の)マツモトはお金をくれなかったこと」
第二に、人気者だった文玉珠さんは、チップをためてお金を持っていたが、他の慰安婦にさせられた女性たちがお金を持っていなかったこと・・・は無視している。

文玉珠さんによれば、
「私の手元には少しづつもらったチップが貯まって大きな金額になった。友達に比べて私だけが、大金を持っているのは、都合が悪い」
という。

この部分である。



この部分は、なぜ文玉珠さんが貯金をしたのか?その理由と通帳を造った経過を述べているのである。文玉珠さんによると、宴会に出かけてチップを貯めると金額が大きくなったが、友達はそんな大金を持っていない。そこで兵士の給料を野戦郵便局に貯金していることを知っていた文さんは、知り合いの軍人に頼んでハンコも作ってもらい、貯金通帳を造ったのである。



ところでイ・ヨンフン達とは仲がいいはずの堀和生(京都大学経済学研究科教授)は、「野戦郵便局の対象が軍人と軍属のみで民間人は使えないので、慰安婦と慰安所従業員は軍属待遇であったことを確認できる。」と書いていることも、ついでに知っておくべきことだ。http://www.kr-jp.net/ronbun/msc_ron/hori-1502.html 京大東アジアセンターNews Letter
慰安婦は「軍属」または「軍属待遇」(軍従属者)だったのである。

さて話を戻す
こうして、都合の悪い部分を無視したあげく結論はこうだ。



「友達に比べて私だけが、大金を持っているのは、都合が悪い」という文玉珠さん
言うまでもなく友達は「大金を持っていない」のである。

それを解説するのに
普通の慰安婦と同様にお金を稼いで貯蓄していた」というイ・ヨンフン
誰と同様だって?
やれやれだ。

(イヨンフンは「慰安婦はみな商売で、金儲けしていた」という結論にしたいために、こうした歪曲を行っているのだ)


        2、殴られ、蹴られた慰安婦の話を無視するイ・ヨンフン

他にも無視している部分がある。例えばコレだ。

騙されて連れてこられた慰安所で、逃げられない、と達観して貯金を貯めることに精を出す文玉珠さんの周りには、貞操を奪われ、複数の日本人兵士の相手をすることを苦痛に思っている女性もいた。

文さんの表現ではこうである。

望んで、性の相手をするわけではない。


イ・ヨンフン自身が述べているように、騙されて連れてこられて泣きながら抗議したのだ。
慰安所でも、ささやかな抵抗し、殴られ、蹴られる。

ところが殴られ、蹴られた慰安婦の話は、イ・ヨンフンにとっては都合が悪いようだ。

完全に無視している。


             3、自殺未遂の話

アキャブに行く途中のアケミさんの病死と友達の自殺については述べているが、自殺と言えば慰安所の生活がどのようなものだったかが、よく分かるこの部分は無視している。



解説は不要だろう。
「きついきつい」と言っていた友達が自殺未遂
たちの悪い嫌な兵隊もいて、「朝鮮ピー」と呼んだり、バカにしたり、サックを使わなかったり。
「八つ当たりする人が多かった」

こんなものに、騙して連れていくなんて、虐待としか言いようがないだろう。

アケミさんの病死の前に、友人が川に身を投げたこと(p81)をイ・ヨンフンは一応は述べているのだが、この本には慰安婦の生活がよく分かる部分として、他にも爆弾で左足を負傷したり(p95)、文玉珠さんが酔っぱらった兵隊にののしられ、暴行を受け、左腕を骨折したことなど(p99-100)など、タフな文玉珠さんでも苦しんだ様子が書かれている。軍法会議の話は長々と語っているのに(23:50~25:50)、慰安婦が暴行を受けた話は、無視しているのだ。戦後、文さんは後遺症に悩まされ、不眠を訴え、夜通し泣き明かすこともあったという(p155)。こうした事もイ・ヨンフンの講義には出てこない。このようにトリミングを行いながら「慰安婦と兵士は最前線で苦楽を共にする仲でした」と黒田勝弘ー秦郁彦ー朴裕河ラインが宣伝してきた意見を述べている。

しかしそもそも、銃弾が飛び交う最前線に、婦女子を連れていくことが、どう正当化できるだろうか?

ところで、こんな風に、騙され、殴られ、虐待され、辛さに自殺までした娘たちは、なぜこの仕事を辞めなかったのか?
それを考えるのが、人類に寄与する歴史学なのである。

都合の悪い部分を無視して、怪しげな政治的理屈を振り回すだけのイ・ヨンフンには、歴史家の資格はない。


 (後半に続く)



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